多人種・多文化が共存する国・カナダ。
英語圏の国として、留学先や移住先としても非常に人気のある国です。
そんなカナダで就職や移住を考えている人も多いのではないでしょうか?実際に留学やワーホリでカナダに来てみて、気に入ったのでなんとか移住したい、という方も多いです。
とはいっても、外国に滞在する上で最も重要なのがビザ。
そして生きていくために必要なものといえばお金・仕事。
1年以上の長期滞在や移住を目指すのなら、まずはこの「ビザ」と「仕事」という2つのハードルをクリアする必要があります。
今回は、カナダ就職&移住希望者必見!私たち日本人が外国人としてカナダに滞在するための就労ビザの種類をまとめてご紹介したいと思います。
就労ビザとは?
日本人としてカナダやその他諸外国に長期滞在する場合は、 “ビザ” (日本語で査証)が必要となります。
カナダへの渡航を考えた時、まず第一に思い浮かぶビザといえば、観光や学生ビザでしょうか。しかし観光や勉強だけでなく、もっと長く住みたい方や、現地で生活費を稼ぎたい方にとっては、観光ビザや学生ビザでは不便なことも。
観光ビザ(Visitor Permit)
観光 “ビザ” と呼ばれることが多いものの、実際はビザ申請不要の入国許可なので、 “ノービザ” とも言います。
- 日本国籍なら半年以内の滞在が可能
- 半年以内であれば語学学校などにも通える
- 渡航前のビザ申請不要
学生ビザ(Study Permit)
- 高校や短大、大学のように半年以上の留学が可能
- 就労許可証無しでも週20時間の学外での就労(アルバイト)ができる
- 渡航前の事前申請が必要
- ビザ発行までに約2ヶ月・その他指定の書類などが必要
最初は観光ビザや学生ビザを使って入国した方も、カナダが気に入ってもっと長く住んでみたい、働いてみたいと思う人も実際とても多いです。
そんな方々のカナダ長期滞在の際に必要となるのが就労許可。つまり、働くことができる査証。『就労ビザ』です。
それでは早速、7つの就労ビザのそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
【1】ワーキングホリデービザ
【Working Holiday Work Permit】
取得難易度 | ★☆☆☆☆ |
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申請費用 | $250 |
申請~結果までの期間 | 2~3ヶ月 |
滞在・就労可能期間 | 1年間 |
申請条件
- 申請時の年齢が18歳~30歳
- 最低2,500ドル(20~25万円)ほどの資金を有している
- 滞在期間中の医療保険に加入できる 等
申請時の年齢が18歳~30歳という条件さえ満たせば、誰でも比較的簡単に申請ができる「ワーキングホリデービザ」。「ワーホリ」と略され知名度も高いですよね。
ビザ発行から1年以内に渡航すればいいので、30歳に申請して許可がおりれば、31歳でも渡航ができます。
申請は比較的簡単ですが定員に限りがあるので、情報を小まめに確認しておきましょう。
ワーホリビザでは、半年以内の就学と1年間の就労が可能。ちなみに就労することもできますし、十分な費用があるなら別に必ずしも就労する必要はありません。
留学と海外での仕事を両方経験してみたいという方には願ったり叶ったりのビザですね。
まずは観光ビザや学生ビザで入国して、ある程度学校に通って英語に慣れてからワーホリビザに切り替えて1年間しっかり働く、という方法もあります。
※ワーホリビザは1か国・1回しか使えないので注意。1回きりのワーホリ滞在が有意義になるよう、しっかり計画を立てましょう。
- 1年間を上手く使って、語学と仕事を体験したい!
- 海外生活を楽しみつつアルバイトなどでお小遣い稼ぎしたい!
- 1年間学校に通う余裕はないけど、1年間カナダに住んでみたい!
➡カナダワーホリについてもっと知りたい?【カナダ・ワーホリ関連記事一覧】
【2】ポストグラデュエート就労ビザ
【PGWP -Post Graduation Working Permit-】
取得難易度 | ★★☆☆☆ |
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申請費用 | $255 |
申請~結果までの期間 | 約1~3ヶ月 |
就労可能期間 | 8か月~最長3年間 |
申請条件
- カナダの認定カレッジ・大学に8か月以上通学
- その認定の学校を卒業
カナダにある認定のカレッジや大学に8か月以上通学し、卒業することによって申請が可能となるビザ。
海外初心者やお試し感覚で滞在できるワーホリと違って、こちらはしっかり勉強も仕事も経験したいという方向け。
認定の学校に通学・卒業を経て申請すればビザ取得は比較的簡単で、申請費用も高くないですが、最短8カ月間の通学や学費がかかるので、その分の費用や労力は必要です。
滞在可能期間は各学校のプログラムにより左右されますが、最長で3年間の就労・滞在許可が出るのは嬉しいですね。就労先も制限されず自由に選ぶことができます。
また、この就労ビザで最低1年間仕事をすることによって、永住権申請の選択肢ができるのも大きな特徴です。
- カナダのカレッジや大学に通って長期間勉強したい!
- カナダの会社に就職して経験を積みたい!
- 数年間の長期滞在、いずれは永住を考えている。
【3】実習生用の就労ビザ(コープワークパーミット)
【Co-op Work Permit】
取得難易度 | ★★★☆☆ |
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申請費用 | $0 |
申請~結果までの期間 | 約1~3ヶ月 |
就労可能期間 | 実習期間のみ |
申請条件
- 実習プログラムがある学校に在籍している
コープとは座学で学んだことを、実習を通して体験・経験するために学校側が提供するプログラムのことです。
実習生用のビザなので、就労できる期間は実習の期間によって異なります。
申請費用はかかりませんが、通っている学校のプログラムに実習が含まれていることが条件で、申請には学校からの書類が必要となります。
期間や内容も実習内容に制限されるので、実習として割り切って期間中は集中して職業経験をしたい、という方におすすです。
- 自分の専門コースがハッキリしていて、専門分野での職業体験をしたい!
- 学校を卒業する前にカナダでの仕事を経験したい!
【4】配偶者向け就労ビザ
【Help your spouse or common-law partner work in Canada】
取得難易度 | ★★★☆☆ |
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申請費用 | $255 |
申請~結果までの期間 | 約1~3ヶ月(国内申請) |
就労可能期間 | 配偶者と同じ滞在期間 |
申請条件
- 婚姻関係にある相手が半年以上、カナダ政府認定校に通学する
- 婚姻関係にある相手が半年以上、カナダ国内で専門性の高い仕事をする
結婚相手(夫・妻)が半年以上の期間で、カナダの政府認定校にフルタイムで通学する、もしくはカナダ国内で専門性の高い仕事をする場合に、そのパートナー(配偶者)にも認められる就労ビザ。
婚姻関係を大前提に、学校や会社に在籍しているという証明があれば、申請・取得しやすいビザです。
ただし、結婚相手の滞在期間が短かったり、仕事の専門性が低い場合は取得できないこともあります。
取得が認められれば、結婚相手と同じ期間の就労ビザがもらえるのが嬉しいポイント。就労先も自由に選べます。
- 夫婦二人で海外生活を経験しつつ、学校・仕事を頑張るパートナーを支えたい!
- 結婚相手の環境の変化を機に、自分も新たな挑戦をしたい!
- 新しい環境や、文化や言葉の違い抵抗がない
【5】家族移民者用就労ビザ
【Open Work Permit】
取得難易度 | ★★★★☆ |
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申請費用 | $255 |
申請~結果までの期間 | 1~3ヶ月 (※申請方法などにより大きく異なる) |
就労可能期間 | 最長2年間 |
申請条件
- カナダ人、またはカナダの永住権を持っている人と結婚している
- カナダ国内から家族移民・永住権の申請を行っている
カナダ人もしくはカナダの永住権を持っている人と結婚。家族移民・永住権の申請をカナダ国内から行っていることが条件で、その家族移民の結果が出るまでのつなぎとして申請できるビザです。
まずは移民申請書類を提出するなど、就労ビザ申請だけでなく移民申請の手続きも合わせると取得までにかなり時間を要する可能性が高いです。
さらに、パートナーの協力や理解も非常に重要となってくるので、国際結婚や海外移住の大きな経験値となることでしょう。
取得ができれば最長2年間の就労が可能で、勤務先も自由に選ぶことができます。
- 移民申請中にカナダでバイトや仕事がしたい!
- 移民・永住権の取得にかなり時間がかかりそうで、仕事をしないと金銭的に厳しい
【6】ブリッジング就労ビザ
【Bridging Open Work Permit】
取得難易度 | ★★★★☆ |
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申請費用 | $255 |
申請~結果までの期間 | 永住権申請~受領書獲得までの期間 +1~3ヶ月 |
就労可能期間 | 1年間 |
申請条件
- 4ヶ月以内に期限切れとなる有効な就労ビザを持っている
- 永住権申請書類を政府が受理し、”受領確認書”が発行されている
既有の就労ビザから永住権取得までのつなぎとなるビザで、通称【ブリッジング(橋)ビザ】と呼ばれています。
もう少しで永住権が取得できそうだけど、その前に就労ビザが切れてしまう!そんな方のためのビザです。
申請の条件はかなり限られますが、永住権取得までの間もしっかり働きたい場合に便利ですね。就労期間は1年間のみですが、就労先は自由に選べます。
- 永住権取得に時間がかかっているけど、就労ビザを使って今の仕事を続けたい!
- 就労ビザの期限が切れて働けなくなったら金銭的に厳しい。
【7】LMIA就労ビザ
【LMIA -Labor Market Impact Assessment-】
取得難易度 | ★★★★★ |
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申請費用 | $155+LMIA申請代$1000(雇用主負担) |
申請~結果までの期間 | LMIAの申請にかかる期間 +1~3ヶ月 |
就労可能期間 | 1~2年間 |
申請条件
- 就職先の雇用主が申請者を雇うためのサポートをする
- 雇用側が1,000ドル(約10万円)を払って “LMIA” を申請する
- “LMIA” 申請許可が下りて初めてビザの申請が可能
- 現地のカナダ人にはない特異なスキルや経験を持っている
- 雇用主が絶対に雇いたいと思える人材であること
上のどの就労ビザにも条件が当てはまらない場合、難易度はかなり上がりますが、 “LMIA” と呼ばれる雇用主側の申請が全てとなる就労ビザの申請が可能です。
外国人労働者(申請者)を雇うことで、カナダの経済成長にどのような影響を及ぼすかを査定した書類のこと。
申請者を雇うことによる利点や、他のカナダ人では代わりが務まらない能力を持っている、などカナダ政府を説得できるような内容の書類を雇用主が準備する必要があります。
この “LMIA” の取得に、費用($1,000)・時間(約3ヶ月)・書類作成など、雇用主側にかなりの負担がかかることから、言うまでもなく雇用主との信頼関係やサポートで全てが決まります。
職種によって成功率は大きく変わり、他のカナダ人と比べた時に、専門分野における経験や高いスキルを持っていることなどが非常に重要ですね。
- 専門分野での経験やスキルを活かし、カナダの市場で力を発揮したい!
- 絶対にここで働きたいと強く思える会社がある
就労ビザプログラムの改定について
カナダでは2014年の就労ビザプログラムの改定により、就労ビザに関してはいくつか大きな変更点がありました。
外国人雇用許可は、Labour Market Opinion(LMO)という名称でしたが、Labour Market Impact Assessment (LMIA)という名称に変わり、従来に比べて外国人雇用に関する条件やルールが厳しくなりました。
これは、外国人労働者を無制限かつ安易に増やすことを制限するだけでなく、カナダ人労働者を優先的に雇用することを促すためでもあります。
求人がある場合、カナダ人に最初にその仕事を得るチャンスが与えられるようにしていこうという試みです。
移住希望者や海外就職希望者にとってはちょっと残念な改定ではありますが、カナダで生まれ育った人々や、永住権保持者の仕事の機会を守る&増やすためには重要なものですよね。
就労先選びなどビザの自由度について
今回ご紹介した就労ビザ7つは大きく2つに分かれます。
オープンワークパーミット Open Work Permit
取得後の就労先を自由に選べるタイプの就労ビザです。どの雇用主のもとでも就労可能。
①ワーキングホリデービザ
②卒業生向け就労ビザ(ポストグラジュエート)
④配偶者向け就労ビザ
⑤家族移民者用就労ビザ
⑥ブリッジング就労ビザ
これらはオープンワークパーミットに属します。
クローズドワークパーミット Closed Work Permit / Employer-Specific Work Permit
許可された雇用主・就労先でのみの労働が可能な就労ビザです。
③実習生用の就労ビザ(コープワークパーミット)
⑦LMIA就労ビザ
上記の2つは、就労先が限定されているので、ビザ取得後も特定の就労先以外で働くことはできません。
③の実習生用ビザの場合は、学校の実習先に限定。⑦のLMIA就労ビザに至っては、雇用主側が手続きや書類作成を行うので、当然申請した雇用先でしか働けません。
まとめ
以上、私たち日本人が外国人としてカナダに滞在するための就労ビザの種類をまとめてご紹介しました。
カナダで働いたり、将来的に移住する方法はいくつか選択肢があります。もちろんある程度費用はかかりますが、どれも私たち日本人にとって不可能な選択肢ではないですよ。
移民だけでなく、留学先としても有名で、毎年多くの外国人が移住や長・短期滞在でカナダを訪れています。
私自身も留学でバンクーバー、ワーホリでトロントに滞在した経験がありますが、カナダにいる外国人の中には、実際不法滞在や不法労働をしている人もいて、現地に住むカナダ人の雇用の機会を奪ってしまう危険性もあるんですよね。
そんな状況を受け、移民局は就労のための申請条件を設け、条件を満たす外国人にのみ就労を許可しているようです。